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服を買うのが苦手な理由。

by gogomon

苦手な物はいくつかある。
パーティ、カラオケ、体育会ノリ、威圧的な人間、怒鳴り声、納豆など。
これらは避ければ、避けられるのでまあたいしたことはない。

苦手だけど、避けられないもの。それが服を買うことだ。
服屋さんには恨みはない。
友だちに服を扱う人も多いし、デザイナーもいる。みんないい人だ。
そういうのではなく、パルコや伊勢丹なんかに入っているタイプの服屋さん。
あれが苦手だ。だけど、僕も人並みにくだんの店などに入って、服を買うことが年に数回ある。

そんな服臆病のくせに、だれが着るねんこんな服というのを見ると、つい羽織りたくなる。
誰も見てないかと思って、着てみて「うわ、キチガイに見えるわ、ケケケ」なんて1人ほくそ笑んでいると「お似合いですよ」とか言われる。一回、「僕はそう思いません」と言うと、かなり引かれた。

ようやくの思いで「うん、これでいいや」と、買いかけると
「今、大変流行っております」
「木村拓哉さんがドラマで着ていたものと同じです」という恐ろしい言葉を投げかけられる。
もう、ファッションハラスメントである。そんなことを言われると、さーっと逃げる。
ウサギみたいに逃げる。なぜ、服屋さんが苦手なのか。

中学生の時、近所に百貨店ができた。
もう、それはきらびやかで薄汚れた地方都市に住む僕は大変驚いた。
美術館もあって、「ジャコメッティの素描展」や「未来派展」なんてのまでやっていたのだ。
アディダスのビニールの財布しか持っていなかった僕は、一念発起して百貨店に財布を買いに行った。
財布を手にとって見ていると、背の高い格好いい販売員が近づいてきて「ケンゾーです」と言う。
僕はてっきり、自己紹介されたと思い「ヒデキです」とファーストネームを名乗った。

ケンゾーがKENZOであることは、後に知るのだが、ともかくその世界と僕の歯車とは合わなかった。
あのトラウマなのだろうか。
人生も半ばを過ぎたというのに、いまだに服を買うことが苦手だ。


gogomon
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