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フンドシ男とクマさん。

by gogomon

電車に乗っていると、紺のはっぴにフンドシ姿の男が乗ってきた。

足は女性のように細い。

上半身ははだけ、ひ弱そうな体が露出している。20代の男性で、一見おたく風。

黒いメガネをしている。

祭りじゃないだろうし、たとえ祭りでもフンドシ姿でひとりでは乗ってこないだろう。


驚いたことに、周りにいるサラリーマンたちはだれひとり彼を気にしない。

やっぱり、すごいな東京。


そのフンドシ男は実に堂々としていた。

あんまり堂々としているので、

「あれ間違えてるの俺の方かも。フンドシで電車乗ってもいいんだっけ」と思った。

いやいや、ダメではないけど、よくないよなやっぱり。

いいのかな。


……俺しか見えていないのか、不安になってくる。


やがて周りの何人かはフンドシ男に気がついた。

急に目の前に変態が現れて驚いている様子だった。


いや、だいぶん前からいますけどね。


電車に人がたくさん乗ってきて、フンドシ男が追いやられる。

おい、こっちに来るなよ。

密着は全力で避けたい。

僕はドアの方に避ける。

彼は座席の方に追いやられた。


彼の股間が座っている女性の目の前に……というヤツが変態なら、絶好のポジションになった。すると、そのフンドシ男は、フンドシの前方に女子が使うような小さなハンカチタオル(クマのかわいいヤツ)をはさみ、座席の女性が不快な思いをさせない状態にした。


お前、マナーええんか。


フンドシ男は新宿で降りていった。

これは、尾行しなければと思ったが、次の用事があったのでやめることにした。


新宿駅ホームの雑踏に消えていくフンドシ男はリュックを背負っており、両サイドにかわいいクマのぬいぐるみが付けてあった。

クマが好きなんだね。


その後、気になって、

「新宿 ふんどし 男」

とGoogleで検索していたら、車内の女性にスマホの画面をガン見されていた。

母さん、東京はそろそろ夏です。


gogomon
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